Judith Miller
William Broad
Stephen Engelberg
高橋 則明
宮下 亜紀
高橋 知子
朝日新聞社
価格:¥ 1,680
発売日:2002-01 /只今品切れ中
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ショッピング街に散布される、命取りの病原菌。戦場で小型爆弾から吹き出る炭疽菌。タイムズスクエアにばらまかれる小さなボトル入りのペスト菌。いずれも「貧者の核兵器」であり、恐ろしい大量破壊兵器だ。しかも、どこにでもある実験室で作りだせるのである。
この革新的な調査報道報告書の中で、ニューヨークタイムズ紙のジュディス・ミラー、スティーブン・エンゲルベルク、ウイリアム・ブロードは、生物兵器の実態と、なぜ生物戦争および生物テロが急激に、アメリカの最大の脅威となりつつあるかを明らかにしている。
本書が明かす驚くべき内容とは:
- 政府当局者が生物兵器禁止条約違反を懸念しているのをよそに、いかにして米中央情報局(CIA)が、ひそかに細菌爆弾を作り、そのテストをしていたか。
- 国防総省が、どのようにして恐るべき細菌開発に着手したか。
- 旧ソ連でひそかに進められていた、生物兵器製造の大規模秘密計画の詳細と、人体実験の疑惑。
- ソ連の科学者たちは、いかにして自己破壊によって痕跡を断つ病原体を開発したか。
- 1991年の湾岸戦争の際、イラクの生物兵器にドロ縄式防御策で対応したペンタゴンの狼狽(ろうばい)ぶり。
- 1980年代、オレゴン州でカルト教団が生物テロで、数百人のアメリカ人が罹患(りかん)した事件を、パニックと模倣犯の出現を恐れた政府が公にしなかったこと。
- 1960年代に、米軍が生物兵器によるキューバ攻撃を計画したこと。
また、少数の科学者たちと政府高官が、細菌攻撃の探知とその犠牲者救助のため、数十億ドルにのぼる計画をクリントン元大統領に進言した事実と、その計画が、現在も検討されていることも、明らかにされている。
最近まで機密扱いだった文書、科学者たちとクリントン元大統領を含む政府高官たちへの数百にわたるインタビュー、旧ソ連の恐るべき生物兵器研究所からの現地レポートに基づいて、バイオ戦士が職業として歩んできた道のりを跡づけている。そこには生物兵器の完成に、その人生を捧げてきたアメリカ人科学者の姿や、細菌の遺伝子変換の開発に手を貸し、今ではその悪用を阻止しようとしているノーベル賞受賞者の姿も見られる。また、私たちは本書の中で、全人類を滅ぼすのに十分な量のペスト菌、天然痘、炭疽菌を製造した旧ソ連の科学者たちと遭遇することになる。その専門知識は、正規の研究所だけでなく、テロリストや「ならず者国家」の垂涎(すいぜん)の的なのである。
先端科学とスパイ技術の驚愕の事実を私たちの記憶に鮮烈に焼きつける『Germs』は生物学の進歩と、細菌兵器の専門知識がイラン、イラク、北朝鮮などの国々へ拡散することが、なぜ病原菌を21世紀の武器に成らしめることになるのかを、私たちに解き明かしてくれている。
おすすめ度:
それでも大衆は事実を知らない
生化学兵器に対するアメリカ政府の行動事実が中心で、時系列の事実を連ねてあるだけのところがやや不満である。図表を駆使した被害シミュレーションまで踏み込んで欲しかった気がするが、ジャーナリストのルポルタージュからは外れる範囲なので致し方ないと言うところか・・・。
資料として詳細に調査、ヒアリングされていることが分かる。それを可能とするアメリカの情報公開と、関係者の事実認定や回想がいかに徹底しているかと言うことを思い知らされる。しかしこれだけの情報が出揃っていても本当の事実が証されていないことも事実で、暗澹たる思いもする。本書に書かれている研究は今もどこかで行われており、事態は決して好転していないのだから。
おそろしい世の中になったものです
本書は、2001年のアメリカ炭そ菌事件以前に発表されたものである。かなり前から、細菌兵器にたいする警告がなされていたことが伺える。翻訳書がでてないので、辞書を片手にでも、より多くの人が、本書をよむことができれば。。。と思う。

