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カスタマーレビュー
おすすめ度:
しっかりとした本
(2008-05-12)
しっかりとした内容の本。
少年犯罪が起きるたびに上っ面の中身のないコメントしかできないコメンテーターやニュースキャスターに是非読んでほしい。
文面も読みやすい。
近頃では稀な、科学に裏打ちされた確かな本
(2008-03-15)
発達障がいは近年脚光を浴びていて、専門家が書いた本も随分出ている。しかし、どちらかというと専門家が自分の経験から思ったことを書いているだけ、ということが多く、感覚としてはエッセイに近いものがある気がする。勿論臨床的な知見からの話は勉強になるが、そこに科学的根拠がどれぐらいあるかと言われると、ちょっと怪しいことが多いように思う。もちろん、それらの著者も最新の研究について知っている筈だが、一般の読者向けだから読みやすさを重視して引用まではしていないのだろう。ところが、この本は分かりやすさと様々な研究の引用を両立している。そこがこの本の一番すごいところだと思う。
しかも、引用されている文献や研究は本当に幅広く、発達障がいや司法領域(非行)に関わる人なら知っておきたいという研究者や理論が確実に網羅されている。それでいて事例も豊富なので、難しくて飽きてしまうということもないのがすごい。この領域に興味がある人から、この領域に従事している人まで、幅広い人に手にとって欲しい、素晴らしい本。きっと、全ての人にとって新しい発見があると思う。
具体的に言えば、脳機能については有名なPhineas Gageの症例を取り上げて前頭前野と衝動性、人格との関連を説明しているし、「遺伝(nature)か環境(nurture)か」という議論では、一番よく使われる研究法である双生児研究や、非行といえばこの人、Moffittの研究を引用している。さらに、仲間はずれ(Peer rejection)と攻撃性の関連についてはDodge(仲間関係と攻撃性、Social Information Processing理論などで有名な研究者)の研究について触れている。さらに、新しい知見を取り入れているだけでなく、心理学では基本ともいえるHarlowのmaternal-deprivation(母性剥奪:アカゲザルの実験)や Bowlby、Winnicottについても引用しているし、解離やDBDマーチ(齋藤万比古先生が提唱した、破壊的行動障がいの進行モデル)、ミュンハウゼン症候群など、精神病理についてもきちんと触れられていた。
偉い「先生」や「専門家」が言ったことが、必ずしも科学的で正しいとは限らない。経験に裏付けられた意見は、その人のいる環境では真実であることも多いが、他の場面でも正しいとは言い切れない。研究や理論は、その人の個人的印象が本当に正しいのか、他の場面にも応用できるのかを検討するためにある(それだけが目的ではないが)。一般の読者向けの本にも、このようにきちんと背景となる研究と理論を踏まえた、確かな本がもっと増えて欲しいと思う。そして、誤った情報に踊らされたり、傷つけられる家族や関係者が1人でも減ることを心から願う。
どんな物事にも必ず原因がある。
(2007-07-11)
私は、今まで非行少年や犯罪者を冷視していた。何だこいつらは、好き勝手やってと。
全ての現象には必ず原因があるという事実。この本で学んだ。
著者の勤める医療少年院に送致される少年の多くは、幼少期に酷い虐待を受けていたり、
過酷な子供時代を過ごしてきた。
でも考えればわかることで、好きで人殺しをしたり、麻薬を使用したり、ひきこっもたり
する人がいるだろうか?
確かにその愚かな行動を選択したのは本人だが、そうせざるをえない状況に追い込まれていた
という事実は非常に大きい。そのことについて深く知れば知るほど簡単に言及できなくなるのである。
犯罪者に異常者のレッテルを貼って安心している人が世間では大半を占める。
しかしこれは間違いであるし、そういう風に考えてしまう人は自分の胸に手を当てて
聞いてみて欲しい。
「自分が彼の立場だったらそうしないか」と。
新しい視点を得られる一冊
(2006-04-18)
青少年の内にひそむものに焦点を当て、近年の青少年が関わる問題について取り上げている。
以前とは異なり、俗に言う「非行少年」を多面的に捉えていてる。また非行にいたるまでの経緯を心理学や少年本人を取り囲む環境の視点から考えることによって、今の問題を客観的に考えていくキッカケになるのではないかとではないかと思う。
非行とは逆にカラに閉じこもってしまう、いわゆる「ひきこもり」傾向の子どもが、突然凶悪事件を起こしてしまうということにもフォーカスをあて、考えていくことができる本である。
恐れ入る
(2005-12-01)
やー、実に優れた本です。
物心ついた頃、私は母に「どうしたら子どもがまっすぐに育つの?」と尋ねたことがあります。母の答えは明快でした。「親が仲良くしてれば、子どもはふつうーに育っていくんよ」と。当時その意味を理解できる訳もなく「それだけー?」と思いましたが、自分が親になってみて「名言!」と思わずにはおられません。
この本を読んで強く感じるのは、子どもって親によってどのようにもなっていくんだな、ということです。この本に描かれる家族像は言わば典型的で、幼少期には両親のDV、離婚、近親者によるレイプ、溺愛、過重な期待。それらに見舞われた子どもたちがドラッグ、援交、児童への猥褻行為、殺傷事件へと走ってしまう。ここには「親が与える影響だけを論じるのはいかがなものか」という反論も成り立つでしょうが、少なくとも著者が接してきた子どもたちはほぼ例外なく、親の影響を被っています。
さらには、「子どもがゲームに没頭するのは良くない、とは思うが、どう良くないかはっきり知りたい」という疑問に対する明快な解答。心の問題だけを論じてもダメで、施設に於いては規律を守らせることも同じくらい重要であると言うこと。ひいては、一人の子どもを立ち直らせることがいかに大変であるか。例え立ち直って未来に希望を持たせてやれても、社会に受け入れられなかったらどれほど悲しいことであるか。などが克明に記されていて、胸に迫ります。
少年犯罪が多い今、所轄部署は一体何をやってたんだ、という苛立ちが報じられることが多いですが、これ読んだら、いやーこんなに尽力してくださってるんですね、と恐れ入る思いです。
おすすめ度:
しっかりとした本
しっかりとした内容の本。
少年犯罪が起きるたびに上っ面の中身のないコメントしかできないコメンテーターやニュースキャスターに是非読んでほしい。
文面も読みやすい。
近頃では稀な、科学に裏打ちされた確かな本
発達障がいは近年脚光を浴びていて、専門家が書いた本も随分出ている。しかし、どちらかというと専門家が自分の経験から思ったことを書いているだけ、ということが多く、感覚としてはエッセイに近いものがある気がする。勿論臨床的な知見からの話は勉強になるが、そこに科学的根拠がどれぐらいあるかと言われると、ちょっと怪しいことが多いように思う。もちろん、それらの著者も最新の研究について知っている筈だが、一般の読者向けだから読みやすさを重視して引用まではしていないのだろう。ところが、この本は分かりやすさと様々な研究の引用を両立している。そこがこの本の一番すごいところだと思う。
しかも、引用されている文献や研究は本当に幅広く、発達障がいや司法領域(非行)に関わる人なら知っておきたいという研究者や理論が確実に網羅されている。それでいて事例も豊富なので、難しくて飽きてしまうということもないのがすごい。この領域に興味がある人から、この領域に従事している人まで、幅広い人に手にとって欲しい、素晴らしい本。きっと、全ての人にとって新しい発見があると思う。
具体的に言えば、脳機能については有名なPhineas Gageの症例を取り上げて前頭前野と衝動性、人格との関連を説明しているし、「遺伝(nature)か環境(nurture)か」という議論では、一番よく使われる研究法である双生児研究や、非行といえばこの人、Moffittの研究を引用している。さらに、仲間はずれ(Peer rejection)と攻撃性の関連についてはDodge(仲間関係と攻撃性、Social Information Processing理論などで有名な研究者)の研究について触れている。さらに、新しい知見を取り入れているだけでなく、心理学では基本ともいえるHarlowのmaternal-deprivation(母性剥奪:アカゲザルの実験)や Bowlby、Winnicottについても引用しているし、解離やDBDマーチ(齋藤万比古先生が提唱した、破壊的行動障がいの進行モデル)、ミュンハウゼン症候群など、精神病理についてもきちんと触れられていた。
偉い「先生」や「専門家」が言ったことが、必ずしも科学的で正しいとは限らない。経験に裏付けられた意見は、その人のいる環境では真実であることも多いが、他の場面でも正しいとは言い切れない。研究や理論は、その人の個人的印象が本当に正しいのか、他の場面にも応用できるのかを検討するためにある(それだけが目的ではないが)。一般の読者向けの本にも、このようにきちんと背景となる研究と理論を踏まえた、確かな本がもっと増えて欲しいと思う。そして、誤った情報に踊らされたり、傷つけられる家族や関係者が1人でも減ることを心から願う。
どんな物事にも必ず原因がある。
私は、今まで非行少年や犯罪者を冷視していた。何だこいつらは、好き勝手やってと。
全ての現象には必ず原因があるという事実。この本で学んだ。
著者の勤める医療少年院に送致される少年の多くは、幼少期に酷い虐待を受けていたり、
過酷な子供時代を過ごしてきた。
でも考えればわかることで、好きで人殺しをしたり、麻薬を使用したり、ひきこっもたり
する人がいるだろうか?
確かにその愚かな行動を選択したのは本人だが、そうせざるをえない状況に追い込まれていた
という事実は非常に大きい。そのことについて深く知れば知るほど簡単に言及できなくなるのである。
犯罪者に異常者のレッテルを貼って安心している人が世間では大半を占める。
しかしこれは間違いであるし、そういう風に考えてしまう人は自分の胸に手を当てて
聞いてみて欲しい。
「自分が彼の立場だったらそうしないか」と。
新しい視点を得られる一冊
青少年の内にひそむものに焦点を当て、近年の青少年が関わる問題について取り上げている。
以前とは異なり、俗に言う「非行少年」を多面的に捉えていてる。また非行にいたるまでの経緯を心理学や少年本人を取り囲む環境の視点から考えることによって、今の問題を客観的に考えていくキッカケになるのではないかとではないかと思う。
非行とは逆にカラに閉じこもってしまう、いわゆる「ひきこもり」傾向の子どもが、突然凶悪事件を起こしてしまうということにもフォーカスをあて、考えていくことができる本である。
恐れ入る
やー、実に優れた本です。
物心ついた頃、私は母に「どうしたら子どもがまっすぐに育つの?」と尋ねたことがあります。母の答えは明快でした。「親が仲良くしてれば、子どもはふつうーに育っていくんよ」と。当時その意味を理解できる訳もなく「それだけー?」と思いましたが、自分が親になってみて「名言!」と思わずにはおられません。
この本を読んで強く感じるのは、子どもって親によってどのようにもなっていくんだな、ということです。この本に描かれる家族像は言わば典型的で、幼少期には両親のDV、離婚、近親者によるレイプ、溺愛、過重な期待。それらに見舞われた子どもたちがドラッグ、援交、児童への猥褻行為、殺傷事件へと走ってしまう。ここには「親が与える影響だけを論じるのはいかがなものか」という反論も成り立つでしょうが、少なくとも著者が接してきた子どもたちはほぼ例外なく、親の影響を被っています。
さらには、「子どもがゲームに没頭するのは良くない、とは思うが、どう良くないかはっきり知りたい」という疑問に対する明快な解答。心の問題だけを論じてもダメで、施設に於いては規律を守らせることも同じくらい重要であると言うこと。ひいては、一人の子どもを立ち直らせることがいかに大変であるか。例え立ち直って未来に希望を持たせてやれても、社会に受け入れられなかったらどれほど悲しいことであるか。などが克明に記されていて、胸に迫ります。
少年犯罪が多い今、所轄部署は一体何をやってたんだ、という苛立ちが報じられることが多いですが、これ読んだら、いやーこんなに尽力してくださってるんですね、と恐れ入る思いです。

