がん患者学〈1〉長期生存患者たちに学ぶ (中公文庫)
告知されたその日からはじめる私のがん養生ごはん
百万回の永訣―がん再発日記
がん患者学〈3〉がん生還者たち―病から生まれ出づるもの (中公文庫)
がん患者学〈2〉専門家との対話・闘病の記録 (中公文庫)
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みずからもがんを患う著者が、18人の長期生存者、およびさまざまな立場の専門家たちに徹底的に聞き書きし、ロングセラーとなった『がん患者学』の続編である。女性がん患者600人へのアンケート、患者の自己決定権、代替医療などさまざまな試みがすすんでいる米国への取材など、対象に深くかかわる姿勢は変わらない。厳しく苦しい闘病生活を強いられる患者が後を絶たない一方、「がんを抱えながら生きる」人も多い状況をふまえ、クオリティ・オブ・ライフというあらたな課題に迫る。
サポートする医療者の取り組み紹介はもちろんのことながら、互いに手をつなぎ、がんに負けないよりよい人生のために立ち上がった患者たちの姿を追うレポートは実に力強い。日本でも患者会の活発な活動などが目立つようになっているが、本書によれば、海外ではさらに一歩進んで、社会運動的な盛り上がりを見せているところもあるという。
とはいえ、現実には多くのがん患者が、意識改革の進まない医療体制の中で難民化していると著者はいう。皮肉にも、病状悪化の絶えざる恐怖に向き合う動揺を包み隠さずつづっていく著者の率直さが、その記述に迫力を加えている。すべての人にとって限りある生の中で、がんという病を患ったことの意味を探る著者の旅は、まだまだ道なかばだ。がん体験から何かをつかみだし、「新しき人」としての1歩を人生に刻もうとするその姿勢にこそ、読者は励まされる。(松田尚之)
おすすめ度:
表題とちょっと違う
この本の表題は「がん生還者たち」となっています。病気の克服記録かと思って読み始めると違和感を感じましす。最初の2例はいずれも膵臓がんと卵巣がん(筆者と同じ)で死去するというところから始まります。社会的に恵まれた人とそうでない人の差が出てきますが、同時に日本の悲しい医療の現実を突きつけられます。大学の教授をしていても簡単に自分の死を受け入れられるわけではないし、人は自分がもっとも輝いていたときの記憶を頼りに生きていこうとするものなのかもしれません。健常者が想像する以上に悲痛ながん患者の心理描写に迫力を感じます。
次に膨大な内容のアンケート結果が報告され(ちょっと字が小さくなるので読みづらくなります)、その次の章からはメキシコやアメリカの取材報告となります。がん生還者達というのは海外でのこういった取材での「元患者達」をさしているものですが、ドキュメンタリー風にインタビューに答える形をとっています。このあたりはやや冗長な感じがします(ページ数が多く読み疲れします)。最後に米国のレイチェル医師との会話がありますがこの本のエッセンスはそこに凝縮されています。
レイチェル医師の生死観というのは非常に参考になります。この本は患者としての立場で書かれていますが、医師であり、同時に患者でもあった人は医師の立場も患者の立場もともに理解できるわけです。人が何のために生きているのかという人類の遠大なテーマに対して、がん患者は健常人よりも先に一つの回答を得ることができるようです。いわばアイデンティティを確立する上で病気も役に立つものと考えられます。なお、この本が患者の悲痛な叫びを代弁しているならば、がん治療に携わる医者にも是非読んでほしいと考えます。

