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カスタマーレビュー
おすすめ度:
医師とて我々と同じ生身の人間だ!
(2007-04-13)
死を目前に苦悩する姿がある。この本の価値は、医師としての使命感と、日本の医療をよくしたい真摯な姿勢を感じることだ。しかも、自分を確実に死に至らしめるであろう肺癌と対峙しながら、患者の立場での目線も忘れていない。さらに、我々一般人にもわかりやすい、読みやすい文章が、この本を成功させている。難解な解説書の類だけが啓蒙書ではないだろう。気軽に読み始めたが、かなり重いテーマを扱っており、文庫本でありながら、途中で何回も精神的な休憩を取らざるを得なかった。「長生きするリスク」を背負う現代人にとって、明日は我が身であろう。どんな形であれ、死は誰にとってもまさしく「空クジなしの大当たり」なのだ。この春、医大に合格した息子に何か本を贈ろうと探していたところ、偶然に立ち読みしたが、買わずに立ち去ることは出来なかった。確実に忍び寄る病魔と闘いながら、貴重なメッセージを残して燃え尽きた稲月氏の「心の叫び」を忘れずに、学生生活をスタートして欲しいと願っている。この本によって、よい意味での質的変化が起きて欲しい。感受性が豊かであれば、かなりの衝撃をもって読むことになるだろう。
この作品を『生かす』ためには
(2003-04-10)
肺癌のために42歳で死亡した内科医の手記である。私は内科医であるが、いろいろと考えさせられる。以下の書評は遺族の方には不満に思えるかもしれないが、稲月医師が世に問うたこの本の意味を深めるためにも、お許しを願いたい。
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肺癌のために42歳で死亡した内科医の手記である。私は内科医であるが、いろいろと考えさせられる。以下の書評は遺族の方には不満に思えるかもしれないが、稲月医師が世に問うたこの本の意味を深めるためにも、お許しを願いたい。
アメリカでは、喫煙する医者は自分には医者の資格がないと公言しているようなものだと考えられている。それは警察官が毎日強盗しているようなものであり、牧師が毎日下着泥棒をしているようなものである。『タバコを吸う医者』など軽蔑の対象でしかないのがアメリカなのだが、ここ日本では多くの医者がタバコを吸っている。そして、稲月医師のように肺癌にかかって死ぬ医者も少なくない。私の同門の先輩も一人、喫煙者で46歳の若さの中、肺癌のために死亡した。タバコは発癌物!質のかたまりである。それを吸い続けて癌になり、そして死ぬのは『あまりにも当たり前のこと』なのである。
本来、患者にタバコから自由になるように(禁煙するように)勧めるべき内科医が、タバコを吸い続けていたことが私には驚きである。
稲月医師も、タバコを吸っていたことを後悔しただろう。まだ小さな子供達のことを書いている場面では、涙を誘う。
もし私が稲月医師の立場だったなら、彼と同じように、喫煙していたことを後悔するような文章は一行も書くことはできなかっただろう。それはあまりに辛く、勇気のいることだからだ。
しかし、ユル・ブリンナーは肺癌で死につつあるときに、青少年に向かって喫煙の恐ろしさを切々と訴えるビデオを遺した。ユル・ブリンナーほど強い精神文化の社会に生!きていないといえばそれまでだが。
もし、周囲に喫煙している医者がいたなら、この本を進呈してあげるといい。アメリカは銃社会だが、日本は『アホでマヌケな』タバコ社会である。

