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カスタマーレビュー
おすすめ度:
ご自愛ください。
(2008-01-30)
本書を読んでから、著者の『カンボジアの24色のクレヨ
ン』(1986)を読みました。というのは、ポル・ポト派の虐
殺はベトナムのでっち上げと言い切る馬淵直城『わたし
が見たポル・ポト』(2006)を直前に読み、歴史の評価の
難しさを改めて感じたからです。著者は、前掲書で意味じ
くもこう言っています。「政治の流れによっては、意図的
に悲劇が作りだされることすらあるのです。その企てを読
み取った後で、では私自身はどうするかという問いが根
深く残ります」と。
著者のとった方法はこうです。意思疎通に障害のない
在地日本人から現地の実情を聴取し、それを著者の想
像力で最低限の編集をすること。だから、本書に記述さ
れているイスラエル、ニクラグア、新ユーゴスラビアなど
での出来事は、期せずして大国の介入とそれが誘発し
た内戦、そして大量の難民の出現という20世紀後半に
頻発した世界の実相の一端を、的確に伝えることができ
ました。ノンフィクション「作家」の面目躍如です。
ただし、読む者を突き放すような著者のぶっきらぼうな
文体には、最初は戸惑いました。まるで、自らの内部に
生じた不快感を周りに吐き散らしているかのようです。
それも、「家の庭―ノスタルジック・ジャパン」と題された冒頭の
文章を読んで、合点がいきました。子の将来を憂える親
とそれを知りながら自立へともがく著者との葛藤、そして
それを見守る兄姉、つましい生活ながら通い合う肉親の
情と家庭、その充足感が著者の快・不快の源になってい
るのでしょう。わたしは、自分が生まれる経過やそれまで
の父母の生活を、これほど詳しくは知りません。羨ましく
なりました。
これも本書を読んだ後ですが、著者の『百万回の永訣』
(2006)をめくってみました。どうやら卵巣ガンが再発、そ
れも骨や肝臓に転移しているようですね。どうぞ、ご自愛
ください。
おすすめ度:
ご自愛ください。
本書を読んでから、著者の『カンボジアの24色のクレヨ
ン』(1986)を読みました。というのは、ポル・ポト派の虐
殺はベトナムのでっち上げと言い切る馬淵直城『わたし
が見たポル・ポト』(2006)を直前に読み、歴史の評価の
難しさを改めて感じたからです。著者は、前掲書で意味じ
くもこう言っています。「政治の流れによっては、意図的
に悲劇が作りだされることすらあるのです。その企てを読
み取った後で、では私自身はどうするかという問いが根
深く残ります」と。
著者のとった方法はこうです。意思疎通に障害のない
在地日本人から現地の実情を聴取し、それを著者の想
像力で最低限の編集をすること。だから、本書に記述さ
れているイスラエル、ニクラグア、新ユーゴスラビアなど
での出来事は、期せずして大国の介入とそれが誘発し
た内戦、そして大量の難民の出現という20世紀後半に
頻発した世界の実相の一端を、的確に伝えることができ
ました。ノンフィクション「作家」の面目躍如です。
ただし、読む者を突き放すような著者のぶっきらぼうな
文体には、最初は戸惑いました。まるで、自らの内部に
生じた不快感を周りに吐き散らしているかのようです。
それも、「家の庭―ノスタルジック・ジャパン」と題された冒頭の
文章を読んで、合点がいきました。子の将来を憂える親
とそれを知りながら自立へともがく著者との葛藤、そして
それを見守る兄姉、つましい生活ながら通い合う肉親の
情と家庭、その充足感が著者の快・不快の源になってい
るのでしょう。わたしは、自分が生まれる経過やそれまで
の父母の生活を、これほど詳しくは知りません。羨ましく
なりました。
これも本書を読んだ後ですが、著者の『百万回の永訣』
(2006)をめくってみました。どうやら卵巣ガンが再発、そ
れも骨や肝臓に転移しているようですね。どうぞ、ご自愛
ください。

